しょうねんとあきのひ
少年と秋の日

冒頭文

もう、ひやひやと、身(み)にしむ秋(あき)の風(かぜ)が吹(ふ)いていました。原(はら)っぱの草(くさ)は、ところどころ色(いろ)づいて、昼間(ひるま)から虫(むし)の鳴(な)き声(ごえ)がきかれたのです。 正吉(しょうきち)くんは、さっきから、なくしたボールをさがしているのでした。 「不思議(ふしぎ)だな、ここらへころがってきたんだけど。」 どうしたのか、そのボールは見(み

文字遣い

新字新仮名

初出

「児童文学」1935(昭和10)年11月

底本

  • 定本小川未明童話全集 10
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年8月10日