こうや
曠野

冒頭文

野原(のはら)の中(なか)に一本(ぽん)の松(まつ)の木(き)が立(た)っていました。そのほかには目(め)にとまるような木(き)はなかったのです。 「どうして、こんなところに、ひとりぼっちでいるようになったのか。」 木(き)は自分(じぶん)の運命(うんめい)を考(かんが)えましたけれど、わかりませんでした。そして、そんなことを考(かんが)えることの、畢竟(ひっきょう)むだだということを

文字遣い

新字新仮名

初出

「民政」1933(昭和8)年8月

底本

  • 定本小川未明童話全集 10
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年8月10日