一 信吉(しんきち)は、学校(がっこう)から帰(かえ)ると、野菜(やさい)に水(みず)をやったり、虫(むし)を駆除(くじょ)したりして、農村(のうそん)の繁忙期(はんぼうき)には、よく家(うち)の手助(てだす)けをしたのですが、今年(ことし)は、晩霜(ばんそう)のために、山間(さんかん)の地方(ちほう)は、くわの葉(は)がまったく傷(いた)められたというので、遠(とお)くからこの辺(へん