おさらいちょう
おさらい帳

冒頭文

この夏(なつ)のことでした。正(しょう)ちゃんは毎日(まいにち)のようにもち棒(ぼう)を持(も)って、お宮(みや)のけいだいへ、せみとりに出(で)かけました。そのけいだいは、木立(こだち)がたくさんあって、すずしい風(かぜ)が吹(ふ)いていました。そして、雨(あめ)のふる音(おと)のように、ジイジイせみがないていました。また、あぶらぜみがなき、午後(ごご)からはひぐらしがないたのでありました。正(

文字遣い

新字新仮名

初出

「教育・国語教育 5巻11号」1935(昭和10)年11月

底本

  • 定本小川未明童話全集 10
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年8月10日