かいだし
買出し

冒頭文

船橋と野田との間を往復してゐる総武鉄道の支線電車は、米や薩摩芋の買出しをする人より外にはあまり乗るものがないので、誰言ふとなく買出電車と呼ばれてゐる。車は大抵二三輛つながれてゐるが、窓には一枚の硝子もなく出入口の戸には古板が打付けてあるばかりなので、朽廃した貨車のやうにも見られる。板張の腰掛もあたり前の身なりをしてゐては腰のかけやうもないほど壊れたり汚れたりしてゐる。一日にわづか三四回。昼の中しか

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • ふるさと文学館 第一三巻 【千葉】
  • ぎょうせい
  • 1994(平成6)年11月15日