ぐんかんこんごうこうかいき
軍艦金剛航海記

冒頭文

一 暑いフロックを夏の背廣に着換へて外の連中と一しよに上甲板へ出てゐると、年の若い機關少尉が三人やつて來て、いろんな話をしてくれた。僕は新米だから三人とも初對面だが、外の連中は皆、教室で一度は講義を聞かせた事のある間柄である。だから、僕は圈外に立つておとなしく諸君子の話を聞いてゐた。すると其少尉の一人が横須賀でSとSの細君と二人で散歩してゐるのに遇つたら、よくよく中てられたと見えて、其晩

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 芥川龍之介全集 第一卷
  • 岩波書店
  • 1977(昭和52)年7月13日