のどかなるはんもく
長閑なる反目

冒頭文

人物 保根 もえ子 野見 丸地 くみ 美奈子 第一場 保根の家——八畳の座敷——机が二つ部屋の両隅に並んでゐる。 保根は一方の机に向つて、何か調べものをしてゐる。 野見は縁側に座蒲団を持ち出して日向ぼつこをしてゐる。 野見  この家もわるくはないが、折角、これだけの庭があるんだから、もう少しなんとかできないもんかな。せめて、季節

文字遣い

新字旧仮名

初出

「改造 第十一巻第一号」1929(昭和4)年1月1日

底本

  • 岸田國士全集4
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年9月10日