私は、その青春時代を顧みると、ちょうど日本に、西欧のロマンチシズムの流れが、その頃、漸(ようや)く入って来たのでないかと思われる。詩壇に、『星菫(せいきん)派』と称せられた、恋愛至上主義の思潮は、たしかに、このロマンチシズムの御影であった。 それは、ちょうど、今から、ずっと溯った二十年前であった。日本の青年男女に、はじめて交際の自由が唱道せられた時分である。それまでは、男女席を同うせずといった