なみのごとくきょらいす
波の如く去来す

冒頭文

人間の幸不幸、それは一様ではない。十人が十人、皆それ〴〵の悩みと楽しみとがある。併(しか)し恐らく一生を通じて苦悩のない者はなく、歓喜のないものも又ないだろう。そしてそれらは、波の寄せては返すように、循環しているものであろう。誰でもが自分の生活を享楽と、総て喜びでありたいと願うだろうが、併しそれは、健康な者が常に健康ではあり得ないように、少しの間隙が生ずれば、直に不安は襲うて来るであろう。又それは

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 芸術は生動す
  • 国文社
  • 1982(昭和57)年3月30日