かんかくのかいせい
感覚の回生

冒頭文

夏の午後になると風も死んで了った。村の中は、湯に浸されたように空気が烈しい日の光りのためによどんでいる。私は、友達もなく独り座敷に坐って、外のもろこしの葉や、柿の葉に日の光りが照り付けているのを眺めていると、何事もすべて、其の葉に映っている日光の焼点の中に集められているような気がした。東京に行った隣の友吉の姿も、寺の御堂にかゝっている蜂の巣も、或る夕暮方、見た六部(ろくぶ)の姿を考えるとなしに、じ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 芸術は生動す
  • 国文社
  • 1982(昭和57)年3月30日