つま |
| 妻 |
冒頭文
一 私はこんな手紙を貰った。—— 『パーヴェル・アンドレーヴィチ様尊下。御住居に程遠からず、すなわちピョーストロヴォ村に、惨澹たる事実の発生を見つつありますにつき、御一報申し上げますことを私の義務と存ずる次第であります。同村の農民はこぞって農舎および全財産を売却し、トムスク県に移住したりしところ、目的地に到らずして戻って参りました。さて申すまでもなく同村にはもはや彼らの持物とては一物もこれ無く
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- チェーホフ全集 9
- 中央公論社
- 1960(昭和35)年4月15日初版発行、1980(昭和55)年9月20日再訂再版