よのなかへでるこどもたち
世の中へ出る子供たち

冒頭文

一 正吉(しょうきち)の記憶(きおく)に、残(のこ)っていることがあります。それは、小学校(しょうがっこう)を卒業(そつぎょう)する、すこし前(まえ)のことでした。ある日(ひ)、日(ひ)ごろから仲(なか)のいい三人(にん)は、つれあって、受(う)け持(も)ちの田川先生(たがわせんせい)をお訪(たず)ねしたのであります。先生(せんせい)は、まだ独身(どくしん)でいられました。アパートの狭(せま)い

文字遣い

新字新仮名

初出

「婦人朝日」1939(昭和14)年1月

底本

  • 定本小川未明童話全集 12
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年10月10日