ゆきのふったひ
雪の降った日

冒頭文

雪(ゆき)が降(ふ)りそうな寒(さむ)い空合(そらあ)いでした。日(ひ)も射(さ)さなければ、風(かぜ)も吹(ふ)かずに、灰色(はいいろ)の雲(くも)が、林(はやし)の上(うえ)にじっとしていました。葉(は)のついていないけやきの細(ほそ)い枝(えだ)が煙(けむ)って見(み)えるので、雲(くも)と木(き)の区別(くべつ)がちょっとわからないのでありました。 「泣(な)き出(だ)しそうな空(そら)

文字遣い

新字新仮名

初出

「お話の木」1938(昭和13)年2月

底本

  • 定本小川未明童話全集 12
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年10月10日