むらへかえったしょうへい
村へ帰った傷兵

冒頭文

一 上等兵(じょうとうへい)小野清作(おのせいさく)は、陸軍病院(りくぐんびょういん)の手厚(てあつ)い治療(ちりょう)で、腕(うで)の傷口(きずぐち)もすっかりなおれば、このごろは義手(ぎしゅ)を用(もち)いてなに不自由(ふじゆう)なく仕事(しごと)ができるようになりました。ちょうどそのころ、兵免令(へいめんれい)が降(くだ)ったので、彼(かれ)はひとまず知(し)り合(あ)いの家(いえ)におち

文字遣い

新字新仮名

初出

「日本の子供」1940(昭和15)年4月

底本

  • 定本小川未明童話全集 12
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年10月10日