みどりいろのとけい
緑色の時計

冒頭文

おじさんの髪(かみ)は、いつもきれいでした。そして、花畑(はなばたけ)でも通(とお)ってきたように、着物(きもの)は、いいにおいがしました。そわそわと、いそがしそうに、これから、汽車(きしゃ)に乗(の)って、旅(たび)へでもでかけるときか、あるいは、どこか遠(とお)くから、いま、汽車(きしゃ)でついたばかりのように、その目(め)はいきいきとしていました。 事実(じじつ)、おじさんは、方々(ほう

文字遣い

新字新仮名

初出

「幼年ブック」1948(昭和23)年6月

底本

  • 定本小川未明童話全集 14
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年12月10日