まんのし
万の死

冒頭文

万(まん)は正直(しょうじき)な、うらおもてのない人間(にんげん)として、村(むら)の人々(ひとびと)から愛(あい)されていました。小学校(しょうがっこう)を終(お)えると、じきに役場(やくば)へ小使(こづか)いとしてやとわれました。彼(かれ)は、母親(ははおや)の手(て)一つで大(おお)きくなりましたが、その母(はは)も早(はや)く死(し)んだので、まったくひとりぽっちとなりました。こんなことが

文字遣い

新字新仮名

初出

「新児童文化 第4冊」1949(昭和24)年11月

底本

  • 定本小川未明童話全集 14
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年12月10日