ふねのはへんにのこるはなし
船の破片に残る話

冒頭文

南(みなみ)の方(ほう)の海(うみ)を、航海(こうかい)している船(ふね)がありました。太陽(たいよう)はうららかに、平和(へいわ)に、海原(うなばら)を照(て)らしています。もう、この船(ふね)の船長(せんちょう)は、年(とし)をとっていました。そして、長(なが)い間(あいだ)、この船(ふね)を自分(じぶん)たちのすみかとしていましたから、あるときは自分(じぶん)の体(からだ)と同(おな)じよう

文字遣い

新字新仮名

初出

「童話の社会」1930(昭和5)年3月

底本

  • 定本小川未明童話全集 12
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年10月10日