ふうせんむし
風船虫

冒頭文

原(はら)っぱは、烈(はげ)しい暑(あつ)さでしたけれど、昼過(ひるす)ぎになると風(かぜ)が出(で)て、草(くさ)の葉(は)はきらきらと光(ひか)っていました。昨日(きのう)は、たくさん雨(あめ)が降(ふ)ったので、まだくぼんだところへ、水(みず)がたまっています。もうすこしばかり前(まえ)でありました。 「きょうは、きっとよく釣(つ)れるよ。」といいながら、徳(とく)ちゃんは、釣(つ)りざお

文字遣い

新字新仮名

初出

「児童文学」1936(昭和11)年9月

底本

  • 定本小川未明童話全集 12
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年10月10日