ひかれていくうし
引かれていく牛

冒頭文

もうじきに春(はる)がくるので、日(ひ)がだんだんながくなりました。晩方(ばんがた)、子供(こども)たちが、往来(おうらい)で遊(あそ)んでいました。孝(こう)ちゃんと、勇(ゆう)ちゃんと、年(とし)ちゃんは、石(いし)けりをしていたし、みつ子(こ)さんとよし子(こ)さんは、なわとびをしていました。 うす緑色(みどりいろ)の空(そら)に、頭(あたま)をならべている木々(きぎ)のこずえは、いくら

文字遣い

新字新仮名

初出

「こくみん三年生」1941(昭和16)年3月

底本

  • 定本小川未明童話全集 13
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年11月10日