はるはよみがえる
春はよみがえる

冒頭文

太陽(たいよう)ばかりは、人類(じんるい)のはじめから、いや、それどころか、地球(ちきゅう)のできたはじめから、光(ひかり)のとどくかぎり、あらゆるものを見(み)てきました。この町(まち)が火(ひ)を浴(あ)びて、焼(や)け野原(のはら)と化(か)し、緑(みどり)の林(はやし)も、風(かぜ)に吹(ふ)かれた木立(こだち)も、すべて、あと形(かた)もなくなったのを知(し)っていました。 いつしか

文字遣い

新字新仮名

初出

「小学六年生 3巻11号」1951(昭和26)年1月新年特別号

底本

  • 定本小川未明童話全集 14
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年12月10日