はるさきのあさのこと
春さきの朝のこと

冒頭文

外(そと)は寒(さむ)いけれど、いいお天気(てんき)でした。なんといっても、もうじき、花(はな)が咲(さ)くのです。私(わたし)は、遊(あそ)びにいこうと思(おも)って、門(もん)から往来(おうらい)へ出(で)ました。すると、あちらにせいの高(たか)い男(おとこ)の人(ひと)が立(た)っています。いま時分(じぶん)、戦闘帽(せんとうぼう)をかぶり、ゲートルをしているので、おかしく思(おも)いました

文字遣い

新字新仮名

初出

「小学五年生」1949(昭和24)年4月

底本

  • 定本小川未明童話全集 14
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年12月10日