どこかにいきながら
どこかに生きながら

冒頭文

子(こ)ねこは、彼(かれ)が生(う)まれる前(まえ)の、母(はは)ねこの生活(せいかつ)を知(し)ることはできなかったけれど、物心(ものごころ)がつくと宿(やど)なしの身(み)であって、方々(ほうぼう)を追(お)われ、人間(にんげん)からいじめつづけられたのでした。母(はは)ねこは、子供(こども)をある家(いえ)の破(やぶ)れた物置(ものおき)のすみへ産(う)み落(お)としました。ここで幾日(いく

文字遣い

新字新仮名

初出

「童話」1946(昭和21)年7月

底本

  • 定本小川未明童話全集 14
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年12月10日