どこかでよぶような
どこかで呼ぶような

冒頭文

わたくしが門(もん)を出(で)ると、ちょうど、ピイピイ、笛(ふえ)をならしながら、らお屋(や)が、あちらのかどをまがりました。 わたくしは、あの音(ね)を聞(き)くと、なんとなく、春(はる)さきの感(かん)じがします。どこへ遊(あそ)びにいくという、あてもなかったので、足(あし)のむくまま原(はら)っぱへきました。知(し)らぬまにとなりのペスが、ついてきました。どうしたのか、きょうは、だれのか

文字遣い

新字新仮名

初出

「幼年クラブ」1949(昭和24)年5月

底本

  • 定本小川未明童話全集 14
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年12月10日