とびよなけ
とびよ鳴け

冒頭文

自転車屋(じてんしゃや)の店(みせ)に、古自転車(ふるじてんしゃ)が、幾台(いくだい)も並(なら)べられてありました。タイヤは汚(よご)れて、車輪(しゃりん)がさびていました。一つ、一つに値段(ねだん)がついていました。わりあいに安(やす)かったのは、もうこの先(さき)長(なが)くは、使用(しよう)されないからでしょう。 原(はら)っぱで遊(あそ)んでいた、辰(たつ)一は、なにを思(おも)い出

文字遣い

新字新仮名

初出

「小学六年生」1940(昭和15)年1月

底本

  • 定本小川未明童話全集 12
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年10月10日