しょうじょとろうへいし
少女と老兵士

冒頭文

某幼稚園(ぼうようちえん)では、こんど陸軍病院(りくぐんびょういん)へ傷痍軍人(しょういぐんじん)たちをおみまいにいくことになりましたので、このあいだから幼(おさな)い生徒(せいと)らは、歌(うた)のけいこや、バイオリンの練習(れんしゅう)に余念(よねん)がなかったのです。きょうも、「父(ちち)よあなたは、強(つよ)かった」を、バイオリンを弾(ひ)くものと、うたうものとで調子(ちょうし)を合(あ)

文字遣い

新字新仮名

初出

「中央公論」1939(昭和14)年8月

底本

  • 定本小川未明童話全集 12
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年10月10日