こどもはかなしみをしらず |
| 子供は悲しみを知らず |
冒頭文
広(ひろ)い庭(にわ)には、かきが赤(あか)くみのっていました。かきねの破(やぶ)れを直(なお)して、主人(しゅじん)は、いま縁側(えんがわ)へ腰(こし)を下(お)ろし、つかれを休(やす)めていたのです。彼(かれ)はこのあたりの地主(じぬし)でした。 裏門(うらもん)から、寺(てら)のおしょうさんが、にこにこしながら、入(はい)ってくるのを見(み)ると、ちょっと迷惑(めいわく)そうな顔色(かお
文字遣い
新字新仮名
初出
「社会 創刊号」1946(昭和21)年9月
底本
- 定本小川未明童話全集 13
- 講談社
- 1977(昭和52)年11月10日