きのうえとしたのはなし
木の上と下の話

冒頭文

一 ある家(いえ)の門(もん)のところに、大(おお)きなしいの木(き)がありました。すずめが、その枝(えだ)の中(なか)に巣(す)を造(つく)っていました。さわやかな風(かぜ)が吹(ふ)いて、きらきらと若葉(わかば)は波(なみ)だてていました。 「お母(かあ)さん、さっきから、小(ちい)さな子供(こども)たちがこの木(き)の下(した)でぺちゃぺちゃいっているが、なにをしているんでしょうね。」と

文字遣い

新字新仮名

初出

「台湾日日新報 夕刊」1940(昭和15)年5月7、8日

底本

  • 定本小川未明童話全集 13
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年11月10日