きつねをおがんだひとたち
きつねをおがんだ人たち

冒頭文

村(むら)に、おいなりさまの小(ちい)さい社(やしろ)がありました。まずこの話(はなし)からしなければなりません。 昔(むかし)、一人(ひとり)の武士(ぶし)が、殿(との)さまのお使(つか)いで、旅(たび)へ出(で)かけました。思(おも)いのほか日数(にっすう)がかかり、用(よう)がすんで、帰途(きと)につきましたが、いいつけられた日(ひ)までに、もどれそうもありませんでした。そのうち、あいに

文字遣い

新字新仮名

初出

「週刊家庭朝日」1950(昭和25)年1月

底本

  • 定本小川未明童話全集 14
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年12月10日