きしゃははしる
汽車は走る

冒頭文

春風(はるかぜ)が吹(ふ)くころになると、窓(まど)のガラスの汚(よご)れがきわだって目(め)につくようになりました。冬(ふゆ)の間(あいだ)は、ほこりのかかるのに委(まか)していたのです。裁縫室(さいほうしつ)の窓(まど)からは、運動場(うんどうじょう)の大(おお)きな桜(さくら)の木(き)が見(み)えました。 「あの枝(えだ)に花(はな)が咲(さ)くのは、いつのことか。」と、ちらちらと雪(ゆ

文字遣い

新字新仮名

初出

「日本の子供」1941(昭和16)年4月

底本

  • 定本小川未明童話全集 13
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年11月10日