かたいおおきなて
かたい大きな手

冒頭文

遠(とお)く、いなかから、出(で)ていらした、おじいさんがめずらしいので、勇吉(ゆうきち)は、そのそばをはなれませんでした。おじいさんの着物(きもの)には、北(きた)の国(くに)の生活(せいかつ)が、しみこんでいるように感(かん)じられました。それは畑(はたけ)の枯(か)れ草(くさ)をぬくもらし、また町(まち)へつづく、さびしい道(みち)を照(て)らした、太陽(たいよう)のにおいであると思(おも)

文字遣い

新字新仮名

初出

「銀河」1948(昭和23)年7月

底本

  • 定本小川未明童話全集 14
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年12月10日