かぜしちだい
風七題

冒頭文

一 子(こ)どもは、つくえにむかって、勉強(べんきょう)をしていました。秋(あき)のうすぐらい日(ひ)でした。柱時計(はしらどけい)は、カッタ、コット、カッタ、コットと、たゆまず時(とき)をきざんでいましたが、聞(き)きなれているので、かくべつ耳(みみ)につきません。それより、高(たか)まどの、やぶれしょうじが、風(かぜ)のふくたびに、かなしそうな歌(うた)をうたうので、子(こ)どもは、じっと耳

文字遣い

新字新仮名

初出

「子どもの村」1948(昭和23)年7月

底本

  • 定本小川未明童話全集 14
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年12月10日