おかまのうた
おかまの唄

冒頭文

松林(まつばやし)で、聞(き)きなれた鳥(とり)の声(こえ)がしました。窓(まど)をあけると、やまがらやしじゅうからが、枝(えだ)から枝(えだ)をつたって鳴(な)いていました。 「僕(ぼく)のにがしたやまがらではないかな。」 少年(しょうねん)が、じっとその姿(すがた)を見(み)ていました。遠(とお)い町(まち)で逃(に)がしたのが、どうして、ここまで飛(と)んでこられよう、と思(おも)いました

文字遣い

新字新仮名

初出

「良い子の友」1945(昭和20)年10月

底本

  • 定本小川未明童話全集 13
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年11月10日