あるなつのひのこと
ある夏の日のこと

冒頭文

姉(ねえ)さんは、庭前(にわさき)のつつじの枝(えだ)に、はちの巣(す)を見(み)つけました。 「まあ、こんなところへ巣(す)を造(つく)って、あぶないから落(お)としてしまおうか。」と、ほうきを持(も)った手(て)を抑(おさ)えてためらいましたが、「さわらなければ、なんにもしないでしょう。」 せっかく造(つく)りかけた巣(す)をこわすのもかわいそうだと考(かんが)え直(なお)して、しばらく立(

文字遣い

新字新仮名

初出

「女子青年 24巻8号」1941(昭和16)年8月

底本

  • 定本小川未明童話全集 13
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年11月10日