あにのこえ
兄の声

冒頭文

おかあさんは、ぼくに向(む)かって、よくこういわれました。 「小(ちい)さいときから、おまえのほうは、気(き)が強(つよ)かったけれど、にいさんはおとなしかった。まだおまえが、やっとあるける時分(じぶん)のこと、ものさしで、にいさんの頭(あたま)をたたいたので、わたしがしかると、いいよ、武(たけ)ちゃんは、小(ちい)さいのだものといって、にいさんは、おこりはしなかった。ほんとうに、がまん強(づよ

文字遣い

新字新仮名

初出

「子供の広場」1946(昭和21)年4月

底本

  • 定本小川未明童話全集 13
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年11月10日