一 暗くなって来た、間もなく夜だ。 無期帰休兵のグーセフが、釣床(ハンモック)から半分起きあがって、小声で言う。 「ねえ、パーヴェル・イヴァーヌィチ。こんな事をスーチャン蘇城、ウラジオの東方約百キロにある炭坑地の兵隊が言ってたっけ。奴の乗ってた船に大きな魚が突き当って、船底をぶち抜いたってね。」 話しかけられた素性の知れぬ男は、船の病室の皆からパーヴェル・イヴァーヌィチと呼ばれていたが、ま