グーセフ
グーセフ

冒頭文

一 暗くなって来た、間もなく夜だ。 無期帰休兵のグーセフが、釣床(ハンモック)から半分起きあがって、小声で言う。 「ねえ、パーヴェル・イヴァーヌィチ。こんな事をスーチャン蘇城、ウラジオの東方約百キロにある炭坑地の兵隊が言ってたっけ。奴の乗ってた船に大きな魚が突き当って、船底をぶち抜いたってね。」 話しかけられた素性の知れぬ男は、船の病室の皆からパーヴェル・イヴァーヌ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • チェーホフ全集 8
  • 中央公論社
  • 1960(昭和35)年2月15日