カシタンカ
カシタンカ

冒頭文

一 行儀がわるい まるできつねみたいな顔つきをした一匹の若い赤犬が——この犬は、足の短い猟犬と番犬とのあいのこだが——歩道の上を小走りに行ったりきたりしながら、不安そうにあたりをきょろきょろ見まわしていた。赤犬は、ときどき立ちどまっては、泣きながら、こごえた足をかわるがわる持ちあげて、どうしてこう道にまようようなへまなことをしでかしたんだろうと一生けんめい考えた。 赤犬は、自分

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • カシタンカ・ねむい 他七篇
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 2008(平成20)年5月16日