はいくはかくかいしかくあじわう
俳句はかく解しかく味う

冒頭文

俳諧の歴史というものは厳密にいえば殆んどまだ調べがついていないというてよい。芭蕉とか蕪村とかいう重(おも)な二、三の俳人については相当の研究をした人もあるけれども、俳句全体の歴史を文学史的に研究した人はまだ一人もないといって差支ないのである。しかして世間で普通に説いている俳諧史は極めて簡略な極(き)まりきった説話に過ぎん。今一層大胆に引っくるめて言えば、徳川初期から明治大正の今日に至るまで、多少の

文字遣い

新字新仮名

初出

「俳句は斯く解し斯く味ふ」新潮社、1918(大正7)年4月

底本

  • 俳句はかく解しかく味う
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1989(平成元)年10月16日