数日前、船頭の許(もと)に、船を用意せしめおきしが、恰も天気好かりければ、大生担(いけたご)、餌入れ岡持(おかもち)など提(ひっさ)げ、日暮里停車場(にっぽりステイチョン)より出て立つ。時は、八月の二十八日午后二時という、炎暑真中の時刻なりし。 前回の出遊には、天気思わしからず、餌も、糸女(いとめ)のみなりしに、尚二本を獲たりし。今日の空模様は、前遊に比べて、好くとも悪しき方(かた)には非ず。