わがいのり こばやしひでおに
我が祈り 小林秀雄に

冒頭文

神よ、私は俗人の奸策(かんさく)ともない奸策がいかに細き糸目もて編みなされるかを知つてをります。神よ、しかしそれがよく編みなされてゐればゐる程、破れる時には却(かへつ)て速かに乱離することを知つてをります。神よ、私は人の世の事象がいかに微細に織られるかを心理的にも知つてをります。しかし私はそれらのことを、一も知らないかの如く生きてをります。私は此所に立つてをります!……私はもはや歌はうとも叫ばうと

文字遣い

新字旧仮名

初出

「白痴群 第五号」東省堂、1930(昭和5)年1月

底本

  • 中原中也詩集
  • 角川文庫、角川書店
  • 1968(昭和43)年12月10日改版