しべつのよくじつ
死別の翌日

冒頭文

生きのこるものはづうづうしく、死にゆくものはその清純さを漂はせ物云ひたげな瞳を床(ゆか)にさまよはすだけで、親を離れ、兄弟を離れ、最初から独りであつたもののやうに死んでゆく。さて、今日はよいお天気です。街の片側は翳(かげ)り、片側は日射しをうけて、あつたかいけざやかにもわびしい秋の午前です。空は昨日までの雨に拭はれて、すがすがしく、それは海の方まで続いてゐることが分ります。その空をみながら、また街

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 中原中也詩集
  • 角川文庫、角川書店
  • 1968(昭和43)年12月10日改版