さかばにて
酒場にて

冒頭文

今晩あゝして元気に語り合つてゐる人々も、実は、元気ではないのです。近代(いま)といふ今は尠(すくな)くも、あんな具合な元気さでゐられる時代(とき)ではないのです。諸君は僕を、「ほがらか」でないといふ。しかし、そんな定規(ぢやうぎ)みたいな「ほがらか」なんぞはおやめなさい。ほがらかとは、恐らくは、悲しい時には悲しいだけ悲しんでられることでせう?されば今晩かなしげに、かうして沈んでいる僕が、輝き出でる

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 中原中也詩集
  • 角川文庫、角川書店
  • 1968(昭和43)年12月10日改版