くも

冒頭文

山の上には雲が流れてゐたあの山の上で、お弁当を食つたこともある…… 女の子なぞといふものは 由来桜の花弁(はなびら)のやうに、 欣(よろこ)んで散りゆくものだ 近い過去も遠いい過去もおんなじこつた 近い過去はあんまりまざまざ顕現するし 遠いい過去はあんまりもう手が届かない山の上に寝て、空をみるのも此処にゐて、あの山をみるのも所詮は同じ、動くな動くなあゝ、枯草を背に敷いてやんわりぬくもつてゐることは

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 中原中也詩集
  • 角川文庫、角川書店
  • 1968(昭和43)年12月10日改版