かふうせんごにちれき だいいち
荷風戦後日歴 第一

冒頭文

昭和廿一年一月一日(熱海にて) 一月初一。 晴れて風なし。またとはなき好き元旦なるべし。去年の暮町にて購ひ來りし暦を見て、久振に陰暦の日を知り得たり。今日は舊十一月廿八日なるが如し。世の噂によれば諸會社株配當金も去年六月以後皆無となりしのみならず、今年は個人の私有財産にも二割以上の税かゝると云。今日まで余の生活は株の配當金にて安全なりしが、今年よりは賣文にて餬口の道を求めざるべからず。

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 葛飾こよみ
  • 毎日新聞社
  • 1956(昭和31)年8月25日