わたしは生涯に、たくさんの家を見てきた。大きいのも小さいのも、石造のも木造のも、古いのも新しいのも。がそのなかで、ある家のことが特にわたしの記憶に焼きついている。 もっともそれは、家というより、まあ小屋に近い。ちっぽけで、平家(ひらや)建てで、窓が三つついていて、まるで頭巾(ずきん)をかぶったセムシの小さな婆さんそっくりだった。外廻(そとまわ)りは白い漆喰(しっくい)ぬりで、瓦(かわら)ぶきの