かれがころしたか
彼が殺したか

冒頭文

一 若(も)し私があなた方のような探偵小説作家だったら、之からお話しようとする事件を一篇の興味深い探偵小説に仕組んで発表するでしょう。然し単に一法律家に過ぎぬ私が、憖(なま)じ変な小説を書けば世の嗤(わら)いを招くにすぎないでしょうから、私は今、あなた方の前に事件を有りの儘にお話して見ましょう。そうして最後に、未だ世に発表された事のない不思議な手記を読んでお聞かせします。勿論私は、法律家

文字遣い

新字新仮名

初出

「新青年」1929(昭和4)年1~2月

底本

  • 日本探偵小説全集5 浜尾四郎集
  • 創元推理文庫、東京創元社
  • 1985(昭和60)年3月29日