グリュックスブルグおうしついぶん
グリュックスブルグ王室異聞

冒頭文

はしがき 「その時わたくしは、下町のフォーゲル街(ガーデ)で父の遺(のこ)した家に母と暮していましたが、四月初め頃のある朝、……まだ日陰には雪が残って、その中から……ミルザの花が咲いていましたから、三月末頃だったかも、知れません。ある朝事務所の前に、すばらしいイスパノスイザの高級車が停まって、頬髭(ほおひげ)いかめしい年輩の執事が訪れて来ました。中央公園(セントラル・パルケン)のドラーゲ公爵家から

文字遣い

新字新仮名

初出

「小説新潮」1954(昭和29)年9月〜10月

底本

  • 橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇
  • 中央書院
  • 1995(平成7)年4月3日