ろうきょうなるかな
老境なるかな

冒頭文

私がはじめて歌を作つたのは中学の二年の時だと思ふから、顧みれば私の歌歴も、もうすでに五十年を越してしまつてゐる。その最初の歌は、維新史研究家だつた勝山孫弥といふ人の出してゐた「海国少年」といふ雑誌の短歌欄に投稿したもので「出雲なる簸(ひ)の川上はそのむかし八頭(やまた)の大蛇(おろち)住みけるところ」といふのであるが、これがその時分まだ川柳などを作らず、万葉調の歌人として知られてゐた坂井久良岐の選

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆34 老
  • 作品社
  • 1985(昭和60)年8月25日