くろたび
黒足袋

冒頭文

私の家をたづねてくる客の中の和服の人は、どうも黒足袋をはいたものの方が多い。それといふのが和服の客は、多く東京からやつてくる、落語家、講釈師といつた種類の人達だからなのである。京都で和服を着てゐるのは、茶道、能楽、骨董などに関係のある人達が多いので、みんな白足袋ばかりはいてゐるが、東京からやつて来る、それらの市井の芸人達は、まず大抵は黒足袋であつて、それも光沢(つや)のある繻子のものは、厭味だと言

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆38 装
  • 作品社
  • 1985(昭和60)年12月25日