あいじょう
逢状

冒頭文

祇園で今では見られなくなつたものに、「雑魚寝」のほかにもうひとつ「逢状」というものがある。 これは客が来た時に茶屋から名差しの芸妓や舞妓に出すものであつて、大体葉書大位の紙に、「××さまゆゑ直ぐさまお越しねがひ上げ候」という文句と茶屋の名とが印刷してあり、××というところに客の名前を書き、それに相手の名前を書いて、それぞれ芸妓や舞妓の屋形に届ける。そうするとそこの苧姆(おちよぼ)がそれを

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆 別巻15 色街
  • 作品社
  • 1992(平成4)年5月25日