はじめてにしだきたろうのなをきいたころ
初めて西田幾多郎の名を聞いたころ

冒頭文

わたくしが初めて西田幾多郎という名を聞いたのは、明治四十二年の九月ごろのことであった。ちょうどその八月に西田先生は、学習院に転任して東京へ引っ越して来られたのであるが、わたくしが西田先生のことを聞いたのはその方面からではない。第四高等学校を卒業してその九月から東京の大学へ来た中学時代の同窓の友人からである。 その友人は岡本保三と言って、後に内務省の役人になり、樺太庁の長官のすぐ下の役など

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆 別巻92 哲学
  • 作品社
  • 1998(平成10)年10月25日